井山 敬介
-Keisuke Iyama-
『SK1(エスケーワン)』がめざすもの
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『SK1(エスケーワン)』とは、僕・井山敬介と、アルペンスキーで世界中のレーサーと戦っている佐々木明、ナショナルデモンストレーターでスキー界を盛り上げている石水克友、エベレスト登頂に成功した経験を持ち日本を代表するビッグマウンテンスキーヤーの児玉毅、DVD『BUILD』の製作やヒップホップ・アーティスト、ラジオDJとして活躍するDAIGO、そして『北海道スノースポーツミーティング』のメンバーが中心となり、ふたつの活動理念を基に動いている。
その理念とは
「冬の生活・文化をスノースポーツから活性化させる」、
「スキー界を活性化するために、スキーヤーができることをする」ということだ。
実際の活動としてはおもに、スキー界の活性化のための事業やイベントの企画・運営・補助を行なっている。
ちなみに『SK1』名称の由来は、「SKI」の“I”を数字の“1”に見立てたもので、一番楽しく、みんなでひとつになれるイベントを行っていきたい、という思いからきている。
僕が思うに、現在のスキー産業はスキー・スノーボードに関わるメーカー、ショップ、スキー場、プロスキーヤー・スノーボーダー、そしてエンドユーザーである一般のスキーヤー(利用者)のそれぞれが、「こうすればスキーがもっとおもしろくなるのでは?」と思っているにもかかわらず、これらの人々が組織的に連携できる方法、もしくはそれ以前の「話し合い」や「雑談」ができる環境さえ少なかった。
その結果、今のスキー産業が利用者に提供できているものは、バブル絶頂期の20年前からあまり進化しておらず、産業全体で苦しい状態が続いている。またスキーは近年、スポーツとしてだけではなく、観光や教育、地域振興においても重要であると認識されていながら、「観光や教育」と「スキー界」をつなぐ強力なパイプ役も存在していない。
僕ら『SK1』は、これらの問題をスキー産業内での横方向のつながり(ユーザーと供給者)と、スキー産業と外とのつながり(従来は他産業という認識だった観光、教育、自治体)の、両方をつなぐパイプ役になるだけではなく、諸問題を解決するための具体的な行動(事業)を実施できる団体として、スキー界の活性化に貢献したいと思っている。
すでに、メンバーの持つスキーの専門的な知識や技能を活かして、スキー場やメーカー、自治体や教育機関に対し、事業の提案、企画・実施を行なっている。相次ぐスキー場の閉鎖、スキー授業の激減、地球温暖化などの多くの影響を受け、スキー業界は大きく揺らいでいる。
それらの問題を解決するためには、あらゆる立場の人々が協力し合う必要がある。スキー場、メーカー、ショップ、教育、行政、運輸・観光、プロプレイヤーなどが集まり、「私たちに何ができるか」を前向きに話し合い、それらの問題を解決する具体的な行動を『SK1』は続けている。
と、ここまでかっこよく書いてみたけれど、そんなに言うほど大きなことをやっているわけでもなく、そこまで堅くもない。
もっとわかりやすく言えば「スキーが大好きな僕たちは、どうやったらスキーがもっとおもしろく、そして楽しくなるか?」ということを純粋に追い求めていて、大会やイベントを開催しながら、子供から大人まで楽しむことができる“スキーのすばらしさ”をたくさんのスキーヤー、そしてこれからスキーを始めてみたいなという人たちに伝えていけるように活動している。
スキー人口を増やしていこう! もっとスキー業界を盛り上げよう! という大きな成果に結果的につながっていけばうれしいが、それよりも純粋にスキーのすばらしさや僕たちが知っているスキーの楽しみ方をたくさんの人たちに伝えていきたいと思っている。
2012年9月28日に行なわれた「ICI石井スポーツカスタムフェアプレミアム・エスケーワン祭りin札幌」では、参加した総勢約180名のスキーヤーと一緒に、来たるシーズンへの思いを馳せながら、おおいに盛り上がった。なかでも、約30名の子供たちが参加してくれたことは本当にうれしいことだった。
このご時勢だから、こんな時代だからダメなんだと弱気になったり、世間や誰かのせいにするような、そんな人間は『SK1』にはいない。今だからこそできることを、ただ純粋にやっていくだけだ。
これから始まる新しいシーズンが、楽しみで仕方がない。
● 記事提供=月刊スキージャーナル(2012年12月号掲載)
PROFILE
井山 敬介 -Keisuke Iyama-
1978年 北海道富良野市生まれ
幼少の頃から地元・富良野の雪に戯れて育つ。アルペンレーサーとして早くから頭角を現わし、札幌第一高校時代にはナショナルチームに所属、ワールドカップに出場するなど、数々の実績を残す。
2000年から技術選に参戦。毎年着実に順位を上げ、2007年はみごとに初優勝、そして2008年には連覇。2014年に3度目の優勝を飾る。
現在も技術選でトップ争いを繰り広げるほか、子供たちへの『雪育』活動にも尽力。スキー界の振興に向けて、第一線で活躍を続けている。
全日本ナショナルデモンストレーター、ばんけいスキー学校所属
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