井山 敬介
-Keisuke Iyama-
スキーカフェ
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10代の頃、友人と札幌にあるカフェでお洒落気分を楽しもうとコーヒーを飲みに行った。けっこうな値段だったから、きっと美味しいに違いないと期待満々にいただいたが、正直かなり苦みがきつくてとても美味しいとは思えなかった。当時の僕たちにとっては大金だったお金を返してもらいたかったぐらいに、ただただ苦かった。ラーメンにすればよかったな、と後悔したことを憶えている。
そんな僕も35歳になって、今では毎朝飲むコーヒーが大好きだ。淹れたてのコーヒーの香り、ひと口目を飲み少し遠くを見つめながらいろいろなことを考える。ふた口目、3口目と、夢が広がる。夜のお酒は野望が広がるが、コーヒーは現実的なことをしっかりと考えることができる。
富良野から札幌に移り住んで、今年で20回目の冬を迎える。およそ200万の人々が生活する札幌。これほど大きな規模で、年間積雪量が約6㍍を記録する都市は、世界中を探しても類を見ない。除雪や雪道の車の運転の大変さもあり、残念ながら市民にとって“雪”の印象があまりよくないのが現状だが、スキーやスノーボードを楽しむ環境はしっかり、バッチリ整っているのだ。すばらしい雪がたくさん降る札幌。
スキーをしてから出勤、出勤してからのスキー。アフタースキーは「すすきの」へ。世界中から注目されるほど、冬の札幌は最高の場所なのだ。
そんな札幌の冬の暮らしをもっと豊かにし、もっと身近にスキーを感じることができる空間が近くにあればいいなと、プロスキーヤーの児玉毅さんとDVD『BUILD』シリーズのディレクターでおなじみのDAIGO、
そして北海道スノースポーツミーティングのメンバーで試行錯誤しながら、ここ数年『雪育』などのさまざまな活動やイベントを開催、展開し続けている。
その活動のひとつとして、今回は札幌にあるカフェ『エスキス』にて、2013年11月21日(木)から12月17日(火)まで『SKI CAFE @ CAFE ESQUISSE──3人の道産子プロスキーヤーと3人のカメラマンが織りなす雪世界』を開催することになった。
ワールドカップやオリンピックの舞台で戦うアルペンレーサー・佐々木明選手の世界を切り取った写真家・田中慎一郎さんの作品と、児玉毅さんと僕が北海道の雪山を疾走する姿を撮影した写真家・木下健二さんの作品を展示。また佐々木選手のワールドカップのゼッケンなど、3人のスキーヤーが実際に使用していた道具なども展示する予定だ。
さらにDAIGOが制作した、この『スキーカフェ』だけでしか見ることのできないスペシャル映像も流される予定。
それに加え、その映像を流すスクリーンにも注目してもらいたい。造形作家の経塚真代さんが特別に制作した作品になっている。スクリーンのほかにも、スキーと雪と冬をテーマにした経塚真代さんの作品が展示されるので、こちらも楽しみにしていただきたい。
初めて友人と入ったカフェで味わった大人の苦み。今はコーヒーとともにたくさんのアイディアが生まれてくる。打ち合わせやミーティングではコーヒーがいつも一緒だ。コーヒーにはさまざまな効果がある。
コーヒーに含まれるカフェインには強いリラックス効果があり、ストレスによるモチベーションの減退やイライラの解消を導いてくれるほか、身体を活性化させストレスを和らげる作用もあるという。そのほかにも、疲労感を取ってくれて集中力を回復させる効果もあるらしく、しかもスポーツの前に飲むと心臓の働きと血液の循環をよくするのでウォーミングアップにも効果的なのだとか。
すばらしいですね、コーヒーは。
美味しいコーヒーと雪の世界をお楽しみください。
● 記事提供=月刊スキージャーナル(2013年12月号掲載)
PROFILE
井山 敬介 -Keisuke Iyama-
1978年 北海道富良野市生まれ
幼少の頃から地元・富良野の雪に戯れて育つ。アルペンレーサーとして早くから頭角を現わし、札幌第一高校時代にはナショナルチームに所属、ワールドカップに出場するなど、数々の実績を残す。
2000年から技術選に参戦。毎年着実に順位を上げ、2007年はみごとに初優勝、そして2008年には連覇。2014年に3度目の優勝を飾る。
現在も技術選でトップ争いを繰り広げるほか、子供たちへの『雪育』活動にも尽力。スキー界の振興に向けて、第一線で活躍を続けている。
全日本ナショナルデモンストレーター、ばんけいスキー学校所属
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